受験生の皆さま

先輩からのメッセージ

(2013年度 学生原稿より掲載)

医学類5年生の1年間「お医者さんのはじまり」

 読者の皆さん,はじめまして。私は海のない長野県からはるばる金沢へやって来た医学生です。金沢のお魚はほんとうにハズレがない!ですね。美味しいものを食べられる金沢に来てほんとうによかったと思います。学生としての生活も早いものであと残り1年となってしまいました。振り返ると解剖学や生理学がはじまる2年生から3年生までの2年間は医学,医療の基礎となる科目を学び,4年生になって具体的な病気の病態や,治療法を内科・外科といろいろな分野ごとに教科書的に学んできました。そして,いよいよ5年生となるとBed-side Learning; BSLといって,附属病院に白衣を着て実習を始めることになります。医者を目指す者にとってはドキドキわくわくの一年です。BSLでは4年生までに講義や実習で得た知識を実際の患者さんや検査データと突き合わせながら医療の現場を体験していきます。実習内容を一部紹介すると,多くの場合,現場のDr.と一緒に朝のカンファレンスに出席し,病院を受診する患者さんを外来でみることをします。また,入院されている患者さんを1人担当させていただき,視診,聴診,打診,触診と身体の所見の取り方を実習し,場合によっては病気になった経緯や半生を知り,お話しすることで,医師として重要な患者さんとの信頼関係を築けるような話し方や態度などを身につけていきます。さらに,外科系では許可を得て実際に手術に立ち会うこともあります。

 私がこのBSLを通して実感することは2つあります。1つ目は"これは知っている"という知識とそれを"考えて運用する"能力というのは大きな差があるということです。4年生までの座学で,教室でガリガリ覚えたことが連想ゲームのようにキーワード的知識として出てくるだけでは,実習になりません。たとえば"60歳男性の腹痛"の患者さんに,まず何を聞くのか,どんな検査が必要で,その結果から何が言えて,どう考え,治療していくのか。簡単なようでいて実はとても難しいです。正直なところ,このたった1年のBSLの経験だけではすべての診療科でこのようなアプローチが完璧に出来るようにはなりません。しかし,医学生としての医療現場での仕事のはじまりは,一つ一つの知識をもう一段階レベルアップさせて,病気を治療するために見通しを立て,運用できるようになることだと思います。この練習を,実体験を通して行えるのがBSLです。もっとも,基礎で学んだ解剖・生理の知識などがどれ程重要かも痛感することになるので,これまでの教科書的な勉強が重要でないわけではありませんよ。2つ目は"症例"と"患者"は見るべきものが違うということです。これも4年生までの知識と臨床現場の解離という話になりますが,疾患の概念,疫学,症状,検査,診断,治療は一般論でしかありません。患者に一般的知識に当てはまらないことがあった場合に,原因を丁寧に考え,患者の問題点全体を考えることもまた,医者としての第一歩でもあるのです。また,患者には患者一人ひとりの人生やキャラクターがあります。世間の狭い医学部の中だけで過ごしていると,恥ずかしながら社会(世間)の広さや人間性の違いに驚かされてしまうこともしばしばです。かいつまんでですが,患者さんと対話することで色々なことを知る機会にもなります。そして,最終的にどうすることが患者にとって有意義であるのか,ということを,ときには医療の範囲を超えて福祉や倫理,法律といった枠組みで考えていくことも必要なのだと思います。ちょっと話が堅くなってしまいましたね。とにかく5年生は医療現場にでる練習がはじまる1年だということです。余談ですが,5年生は金沢大学医薬保健学域の「医学展」という学園祭の主催学年になります。今年は話題のiPS細胞の展示から,毎年恒例の健康チェック,バイキンマンプロジェクト,ステージでは子供向けに戦隊ショーをやるなど,ほんとうに盛りだくさんで2日間をお届けしました!もちろん大学側の協力もあってですが,学生が学生を組織し,運営し,一つのものを達成するというイベントは,私にとって勉強してばっかり,遊んでばっかりの学生生活ではとても体験できない学友との大切な経験となりました。是非皆さん来年の医学展に参加してみてくださいね。

 最後になりましたが,ボーっとしていても,何かに集中して頑張っていても,あっという間に5年間の学生生活は過ぎていきます。この文章を読んでくださった皆さんのこれからの学生生活が,ワクワク出来るようなものになることを期待しています。Good Luck!

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