研究分野紹介

トレーサー情報解析学

研究分野ホームページ

http://ri-center.w3.kanazawa-u.ac.jp/

スタッフ

教 授:柴  和弘
准教授:北村 陽二
助 教:小阪 孝史

研究の概要

現代は超高齢化社会かつ,高度なストレス社会となり,アルツハイマー病を含む認知症や成人だけでなく子どもも含めたこころの病気などの脳高次機能に関連した様々な疾患が増加している。トレーサー情報解析分野では人の一生の間に起こりうるアルツハイマー病や広汎性発達障害(自閉症スペクトラム等),ストレスが関係している可能性の高い精神機能疾患(うつ病,パニック障害,PTSD 等)などの脳高次機能疾患のメカニズムに基づいた神経機能変化を可視化することにより,それらの早期診断法や重症度診断さらに,治療効果判定法の確立を目指した研究を行っている。

1)アルツハイマー病の早期診断を目指した脳神経機能変化の可視化研究

コリン作動性神経系は記銘・記憶・学習等に深く関係しており,アルツハイマー病を含む認知症で,顕著な変化が見られる神経系で,特に,シナプス前部に存在するコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)やコリントランスポーター(ChT)及びアセチルコリントランスポーター(VAChT)はアルツハイマー病の早期から変化が見られる部位とされている。これらの部位に特異的に結合する短寿命シングルフォトン核種(123I,99mTc)やポジトロン核種(11C,18F)で標識した分子イメージング剤を開発し,アルツハイマー病の早期診断・重症度診断さらには治療効果判定法の確立を目指している。

2)自閉症スペクトラムの客観的・早期診断を目指した脳神経機能変化の可視化研究

現代社会が抱える深刻な問題である「子どもの学習,社会性,行動の障害」を心が宿る脳の機能障害と捉え,そのメカニズムを解明することを目的として,遺伝子改変マウスである自閉症モデルマウスを用いて,その脳神経伝達系の神経化学的変化を調べている。特に,オキシトシン受容体やセロトニン神経系等の様々な神経伝達系の神経化学的な変化を調べる放射性分子プローブを開発して,自閉症特有の変化を視覚的に捉え,簡便に早期診断する方法を開発していくことを目指している。さらに,うつ病やパニック障害等についての研究も行っている。

3)ストレス性疾患の客観的な診断を目指した脳神経機能変化の可視化研究

1990年代に発見されたシグマ受容体は記憶・学習だけでなくストレスにも深く関係しており,抗不安作用,ストレス緩解及び神経保護作用があるとされている。我々はシグマ受容体に高い親和性を有する化合物を発見した。そこで,これらを臨床用核種で標識し,ストレスモデル動物に投与することにより,シグマ受容体の変化とストレスの関係を調べ,ストレスの原因究明や治療法の開発を目指している。

(-)-[11C]ortho-methylvesamicl,[(-)-[11C]OMV]のPET脳イメージング画像,Left:学習障害モデルサル,Right:正常サル