研究分野紹介

分子遺伝学

研究分野ホームページ

http://molgenet.w3.kanazawa-u.ac.jp/home.html

スタッフ

教 授:倉知 慎
准教授:榎並 正芳
講 師:喜多村晃一

研究の概要

私たちの研究室では、ウイルス(病原体)と宿主(免疫)の相互作用を主な研究命題として、具体的には次の3つの研究テーマに取り組んでいます。詳しくは研究室ホームページをご覧ください。私たちの研究に興味のある方は気軽にご連絡ください (kurachi[at]med.kanazawa-u.ac.jp)。

  1. 免疫記憶T細胞の分化と維持の機序(倉知)
    免疫系は自己/非自己の「認識」と免疫「記憶」という二大特徴を持ち、両要素が複合的に作用することで生体防御を果たしています。「認識」については多様な抗原を認識する分子機序(パターン認識受容体、抗原受容体や抗体の多様性形成機構)が明らかになっている一方で、「免疫記憶」、すなわち抗原特異的なT/Bリンパ球が生体内で長期生存メモリー細胞へと分化し個体を再感染から防御する過程は、いまだに現象論が中心です。さらに、慢性感染症や腫瘍などで抗原や炎症が過剰に存在するとリンパ球は機能破綻状態(Exhaustion)に陥りますが、PD-1などの抑制性受容体を阻害するとExhaustion状態のTリンパ球の一部が機能回復を示し、慢性感染症や腫瘍の治療が可能になることが近年示されています。これはExhaustionが介入可能であり、難治性疾患の治療において重要な研究及び治療対象であることを示します。しかし、このExhaustionへの破綻、さらには正常メモリー細胞への分化ですら、その遺伝子発現プログラムを統御する分子機序は明らかになっていません。私たちは、ウイルス免疫応答で鍵をなすCD8陽性T細胞(Cytotoxic T Lymphocyte; CTL)に着目し、分化プログラムを規定している転写因子と細胞内記憶(エピゲノム変化)に焦点を当てて研究を進めています。研究を通じて、CTLリプログラミングの鍵となる分子機序を同定し、T細胞関連難治性疾患に対する新規の診断・予防・治療法の開発を目指しています。生命科学に残された大きな謎である、免疫記憶の機序解明に興味がある方の参加を大歓迎します。
  2. 遺伝子改変酵素AID/APOBECのウイルス感染における役割(喜多村)
     感染細胞におけるウイルスと宿主の相互作用、特にウイルスDNA/RNAに作用する宿主因子について注目しています。細胞が持つAID/APOBECタンパク質ファミリーは、シトシンを触媒しC-to-Uの変異を引き起こすことが知られているDNA/RNA改変酵素です。近年の研究から、一部のAID/APOBECタンパク質にはウイルスゲノムに高頻度の変異を導入する抗ウイルス活性があることが明らかになってきました。私たちは主にB型肝炎ウイルスを対象として、AID/APOBECタンパク質及び関連するDNA修復因子やRNA結合タンパク質のウイルスゲノムへの作用と、結果として生じるウイルス及び細胞機能への影響について研究し、その分子機構を明らかにすることで、ウイルス感染症の新たな治療戦略開発への寄与を目指しています。
  3. インフルエンザウイルス(榎並)
  1. H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザは,現在東南アジアを中心に世界中に感染が拡大している。最も流行被害が大きいインドネシアに研究基盤をおき,ホボゴール農科大学、アイルランガ大学等との共同研究により、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスの研究を行っている。当該ウイルスの抗原変異は凄まじく、インドネシア国内だけでも多様なウイルスが蔓延している。これらの事象を踏まえ、多様な抗原性に対応できる遺伝子組み換え(RG)ワクチンの開発と臨床試験、実用化、および評価を行っている。