研究分野紹介

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

研究分野ホームページ

http://otolaryngol.w3.kanazawa-u.ac.jp/

スタッフ

教 授:吉崎 智一
准教授:室野 重之
講 師:脇坂 尚宏,杉本 寿史
助 教:近藤  悟,遠藤 一平,辻   亮,波多野 都,中西 庸介,上野 貴雄

研究の概要

耳鼻咽喉科領域の感覚器並びに頭頸部の重要臓器の診断・治療を行い,人間の生活の質と機能の維持に貢献すべく様々な研究が精力的に行われている。研究の基本的姿勢は,常に臨床から素材を見つけ,患者のニーズ,社会のニーズに応えることを心得としている。また,世界に通用する研究も重要課題であり,日常から海外の一流雑誌に親しみ,積極的な国際学会への参加につとめ,自分の考えを正確に伝えることができる能力の養成を計ることも到達目標としている。

1)頭頸部癌に関する研究

ⅰ)ウイルス発癌

a)上咽頭癌
上咽頭癌はEpstein-Barr ウイルス(EBV)が発癌および転移機構に密接に関与する高転移性のユニークな癌である。しかし,その分子機構の解明は十分進んでいない。当教室では,EBV遺伝子LMP1による幹細胞誘導機構や転移促進機構を中心に解析を進めている。一方で核酸アナログ系抗ウイルス剤やEBVワクチンの開発などEBVを標的とした治療法の研究にも取り組んでいる。Waldayer扁桃輪における内因性免疫因子発現とこれらのウイルス感染との関連性,発癌へのexosome分泌機能の関与についても研究中である。これらの研究は海外の研究室と共同で進められている。当教室のメインテーマである。
b) 中咽頭癌
近年ヒトパピローマウイルス(HPV)との関連性が指摘されている中咽頭癌について,臨床疫学および細胞生物学的な解析を進めている

ⅱ)頭頸部癌の転移機構

頭頸部癌は,上述の上咽頭癌のような高転移性のものから声門癌などのように低転移性のものまで非常に異なった臨床像を有する。それは頭頸部という狭くて複雑な臓器から発生する癌がそれぞれにユニークな生物学的特徴を有するからである。これらの特徴について,遺伝子発現や遺伝子多型の側面からアプローチしている。また,センチネルリンパ節の重要性が一般的に認識される中,Seed and Soil theoryに基づき,癌細胞が転移する以前にリンパ節に血管新生が生じるとの仮説に基づき,多施設共同研究を展開中である。

ⅲ)頭頸部癌の臓器温存治療

化学放射線治療を中心とした臓器温存療法では,腫瘍の発生部位や臨床病期に基づいた抗がん剤使用が成否のカギを握る。超選択的動注化学療法から交替療法などの新しい化学療法による治療法確立に関する研究を始め,再発癌に対する治療法の開発にも取り組んでいる。

2)頭頸部悪性腫瘍に対する臓器温存治療法の開発

喉頭がんや下咽頭がんに対して,超選択動注化学療法併用放射線療法による進行癌の臓器温存治療法確立へ向けて積極的に取り組んでいる。また,ミセル化シスプラチンの頭頸部癌に対する応用を目指してマウスモデルを用いて研究を進めている。

3)アレルギー性鼻炎/好酸球性副鼻腔炎に関する基礎的,臨床的研究

細菌性,アレルギー性,など多様な炎症所を示す鼻副鼻腔領域の炎症に関する基礎的,臨床的研究を行っている。慢性炎症と発癌に関する研究の一端として,局所及び全身性の発癌やがんの進展に及ぼす影響,まだ,未解明な部分が多い鼻茸(ポリープ)の成因に関する好中球性および好酸球性炎症の役割を中心に研究を進めている

4)高度難聴者の音声・言語療法に関する研究

高度聴覚障害児に対して文字音声法(金沢方式)による言語指導,人工内耳埋込み手術,早期診断,スクリーニング法の開発等に関する研究を進めている。

5)実験的顔面神経麻痺後の神経細胞の変性と神経再生の可塑性に関する研究

6)人工内耳や中耳手術を通して,聴力回復と社会復帰に関する研究

7)真珠腫の培養モデルを確立し,真珠腫の発生及び進展に関する分子レベルでの研究

上咽頭癌でのLMP-1の発現とそれを介した様々なシグナル伝達経路について