医学入門金沢大学大学院医学系研究科医薬保健学域医学類
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 肝がん

1.肝がんの現状と特徴

 現在わが国において肝がんで亡くなる方は、年間3万人を越えて増えつづけており、肺、胃に次いで3番目に多い癌です。しかし、治療法の進歩によって肝がんを発病しても、二人に一人は5年間以上生き続けられるようになりました。

 肝がんは他のがんと異なり発病する方の医学的特徴がはっきりしており、原因の95%以上は、肝炎ウイルスによる慢性肝炎、肝硬変です。肝炎ウイルスは7種類(A,B,C,D,E,G型肝炎ウイルス、TTウイルス)が発見されていますが、慢性肝炎、肝硬変を起こすのは、B型、C型肝炎ウイルスです。肝炎が続けば続くほど肝がんが発生する可能性が高くなり、C型慢性肝炎から肝硬変へ進行した状態では、1年間で7%の方に、10年間のうちには70%の方に肝がんが発生してしまいます。
画像:正常肝
正常肝

画像:肝硬変
肝硬変
画像:肝がん
肝がん

2.肝がんの予防・早期発見

 肝がんを予防するために最も大切なのは、B型、C型慢性肝炎を治療することです。現在主に行われている慢性肝炎の治療は、インターフェロン治療やヌクレオシド誘導体を使用した治療です。また、慢性肝炎が完全に治癒しなくても進行を抑制して肝硬変になるのを防げば、肝がんが予防できる可能性があります。

 しかし現状では、すべての方の慢性肝炎の進行を防止する治療法が開発されていないので、肝がんを早期発見して早期治療することが重要になっています。肝臓は、沈黙の臓器、と呼ばれるだけあって慢性肝炎や早期の肝がんの方には、これといった症状が現れないのが普通です。つまり、慢性肝炎の方が肝がんを早期に発見するには、定期的に肝臓専門医に通院して、血液検査による腫瘍マーカー(AFP、PIVKAII)や画像検査(腹部エコー、CT、MRI、血管造影)をうけることが最も重要なのです。

3.肝がんの治療

肝がんが発症してしまった方は、すぐに肝臓専門医の治療を受けることが必要です。治療法は肝がんの進行の度合いによって、外科で行う手術療法、内科で行う肝動脈塞栓療法、ラジオ波焼灼療法、抗がん剤動注化学療法が行われます。また場合によっては、肝移植手術が行われることもあります。

   

環境社会医学講座 恒常性制御学(内科学第一)
中本安成 講師,金子周一 教授


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