医学入門金沢大学大学院医学系研究科医薬保健学域医学類
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 バイオプシーって なあに?

バイオプシーという言葉を聞いたり、新聞などで目にすることがあります。いったいバイオプシーとはなんでしょう?

バイオプシーは生検組織診断とも呼ばれます。病気の確定診断をして治療方針を決めるために、胃や大腸の内視鏡検査を行った際に病変の一部をつまみとったりして組織を採取して調べます。肝臓が悪い(例えばC型肝炎)時に、肝臓に針をさして肝組織の一部をとって調べることもあります(針生検)。採取した組織を薄くスライスして染色し、スライドガラス標本をつくります。

このスライドガラス標本は国家資格を持つ臨床検査技師がつくります。
スライドガラス標本を顕微鏡でみて病理医が病理診断をします。

例をあげてみましょう。

患者Aさん(50歳、女性):

血液検査などで、C型慢性肝炎ウイルスに感染していることがわかりました。
インターフェロン治療をする前に、肝炎の活動性や進行度を調べることになりました。

画像:バイオプシー1

肝バイオプシー(針生検)のガラス標本です。
太さ1‐2mm, 長さ2‐3cmほどの大きさです(つまようじの大きさを参考にして下さい)。

 

Aさんのバイオプシー標本を顕微鏡で見た組織像です。

画像:バイオプシー2

門脈域に多くのリンパ球が集まる炎症像があります()。
また、肝細胞よりなる肝実質との境界()が不整で、
軽度ですが肝実質の破壊が進行していると考えられます。

 

画像:バイオプシー3

肝実質のなかには、所々、肝細胞の壊死を示す組織像が見られます。
部分壊死巣()、好酸性小体()などです。
これらの組織像から、肝炎の活動性は軽度と判定されました。

 

線維化の程度をみるために特殊染色(鍍銀染色)をして観察します。

画像:バイオプシー4


Aさんの肝臓には下図の参考:肝硬変のような肝細胞を取り囲む線維化はみられません。
線維化の程度も軽度と判定されました。

画像:バイオプシー5
参考:肝硬変の鍍銀染色です。
線維化は赤茶色に染色され、肝組織を分断しているのがわかります。

バイオプシーの病理組織診断の結果、Aさんの肝炎は軽度の活動性、軽度の線維化を伴う比較的軽いC型慢性肝炎と診断されました。インターフェロン治療の効果が期待されます。 Aさんは主治医と相談して治療を始めることにしました。

このようにバイオプシー(生検)された組織の病理診断は治療方針の決定にも役立っています。


がん細胞学講座 形態機能病理学(病理学第二) 准教授 佐々木素子

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